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【カッピングメモ】コスタリカCOE

今日の東京は本当に真夏のような暑さになっています。
こういう時はさっと物書きに変身する店主。今日は先週行ってきたコスタリカCOEについてのカッピングメモです。
今シーズンはこのコスタリカとパナマのラ・エスメラルダ農園のプライベートオークションのロットで締めですし、先週行ってきたものですので、さっさと終わらせたいですね。

という訳で今回はコスタリカCOEです。
コスタリカもスペシャルティコーヒー内では目の離せない産地です。

どの生産国にも「目が離せない」とか「注目の」とか書きがちなのですが、それぞれ注目ポイントが違うと思って頂けると良いかと思います。
例えば前回のホンジュラスは「これからもっと質が上がっていきますし、新しいものも出てきそうなので目が離せない」ということになりますし、今回のコスタリカになると、「近年になって品種、精製方法ともに非常に多様化していて、毎年新しい変化が見られる産地なので、今年も目が離せない」ということになります。

コスタリカは「マイクロミル」という小さな精製所をいくつかの農園が共同所有して、その農園の分をその精製所で処理をするという生産方法が流行しています。
それぞれのマイクロミルで、とても細かく品種や精製方法を管理できて、品質の向上や多様化に繋がっています。
この「マイクロミル」というスタイルがコスタリカの特徴で、毎年のように新しいコーヒーが登場する理由です。

このCOEのラインナップでも、品種はもちろんなのですが、ウォッシュト、ハニー、ナチュラルなどの精製方法もみんな混ざっているので、どれがどの品種と精製方法なのかを探るのは非常に大変です。

そんな中で今年のコスタリカCOEの感想をざざっと書いていきます。

まずパッと気に入ったロットを書いていくと、1、2、3、7、19、23位です。
いきなりたくさん書いてしまいましたが、これ全部ゲイシャです。
コスタリカでも2年前くらいからゲイシャが出始めましたが、今年のCOEの中にもかなり入賞していました。
ゲイシャに関しては次のメモになる、ラ・エスメラルダ農園の時に少し所感を書こうかなと思っていますが、今はいろいろな国のゲイシャが出てきています。

この中で一番気に入ったのは、3位のゲイシャ。
これだけ唯一ウォッシュトだったのですが、柔らか系の印象のゲイシャとしてはとても優れた風味だったと思います。
他のゲイシャはハニープロセスなのですが、どれも基本的にはフローラルな香りがありつつも、とてもスムースなマウスフィールできれいな印象のコーヒーが多かったです。

他に少し気に入ったものでは23位と17位。
後から見てみたら、どちらもティピカのハニーでした。
ティピカという品種は原種に近いものなので、生産量が少ない、病気に弱い、樹高が高いなど、生産者にとっては手間がとてもかかる品種なので現在は敬遠されがちなのですが、味を尊重してがんばって育てる辺りがコスタリカらしいなあと思いました。
どちらも柔らかかったり、甘かったり、ジューシーな感覚があって好印象でした。

あとは自分ではあまり評価しなかったのですが、ケニアで人気のSL種がいくつか入賞していたのが今年の新しい動きだったと思います。
今年の中米出張でコスタリカに行った時にも「SL種を試している」と言っていた所が非常に多く、今年辺りから収穫されたロットが出てきているなあという感じです。
基本的にはSL種の中でも「SL28」になります。
ケニアのコーヒーによく出ている力強いフローラルな香りが出ているものは少ないと思いますので、あの香りはポテンシャルでは持っているのかもしれませんけど、どの産地にも共通して出るという訳ではなさそうですね。その辺りはゲイシャに似ているのかなと思います。

そして最後に触れておかないといけないのは4位のロット。
品種はカツーラとカツアイの混合ロットなのですが、精製方法がとても特殊で、「アナエロビック=嫌気発酵」という方法が取られたロットです。
この精製方法のコーヒーが入賞するのはこれで3年連続だと思います。

とにかく香りが特殊です。誰が飲んでも「シナモン」とコメントするのではないでしょうか。
香りだけ嗅ぐとシナモン、コーヒーをすすると甘さもあるのでシナモンロールになります。

このアナエロビックという精製方法は、精製したパーチメントを黒いタンクの中に入れて密閉して嫌気発酵させるというものです。
それ以外の詳しいことは、まだよく分かっていないのですが、パーチメントと一緒に果皮やミューシレージなども一緒に入れるという話もありますし、僕が今年コスタリカに行った時に聞いた方法では、100%ミューシレージを残したパーチメント(ハニープロセスしたコーヒー)に別のコーヒーを精製した時に取り出した同量のミューシレージを加えて密閉するという「ミューシレージ増し増し精製」という感じで処理するという話もあります。

いずれにしても、非常に特殊な風味になるのですが、いかんせんまだ通常流通する雰囲気ではなく、普通にシティローストくらいまで焙煎した時のこのコーヒーを飲んだことがないので、実際にどんな風味になるのかは分かりません。このロットを落札するしかないのですが、かなりの高額になるでしょう。

このコーヒーの風味は正直、賛否両論分かれるのだろうと思いますが、こういったコーヒーが出てくるのが今のコスタリカの魅力だと感じています。
今はこんな嫌気発酵なんてコーヒーにやるなんて馬鹿げてるという話もあるかもしれませんが、そんな事を言ったら、ナチュラルの風味がこんなに人気になるなんて一昔前は予想するのは難しかったはず。
コーヒーの世界はまだまだ発展途上ですし、焙煎、抽出という消費国側の話ではなく、生産国側の方でやれることはたくさんあるのだろうと思います。

コスタリカは、こういったいろいろなことを試すにはマイクロミルという形態も手伝ってとても向いている状況にあるように感じました。
毎年訪問してもしばらくは飽きないくらい話のネタはありそうです。
僕がコスタリカに毎年行けるかは別にして、やはりこれからも文字通り「目が離せない」産地になることは間違いないですよ。

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