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【店主のクドバナ・その2】焙煎度合の違いがもっと伝わらないかなあ。

この1ヶ月、6月の間はなかなか忙しく、何かしらやることの多い月だったのですが、その中で思いついていろいろ考えていたのは、「コーヒーってもっとシンプルにならないかな」ということです。

これは先月に限らず、僕がコーヒー屋をやっていて貢献したいポイントでもあるので、常に考えていることではあるのですが、改めて小難しく考えられてしまっているなあと思うのです。

コーヒーは昔から通好みの飲み物というか、専門性が高くてマニアックな世界と感じられているところがあるのですが、その理由の1つとして、「大小いろいろな情報が錯綜していて、しかもどれが重要なのかよく分からない」ということがあると思います。

情報自体は今や調べればいくらでも出てくると思うのですが、優先順位や重要度の判別ができないので、情報の整理ができずに混乱している方が多いのではないでしょうか。
こうなってしまうと、簡単な事も難しく考えてしまうと思います。

これまで僕はコーヒーの淹れ方にしても、まずどのように味を感じたらいいかということにしても最低限のポイントに絞ってシンプルに伝えることに注力してきました。

ドリップにしても、「前半はコーヒー豆からしっかり味を出すためにゆっくり過ごして、後半はほとんど出がらしなのでさっさと淹れてください」という辺りのことに絞りましたし、コーヒーの味は、とりあえず最初は「酸味のあるコーヒーなのか、苦味が強いコーヒーなのかで十分。他の要素は無理矢理考える必要はなく、感じたら勝手に単語が出てくるから大丈夫」という伝え方にして、考えることを大事なことに絞るようにしています。

ではこれを、コーヒー全体に広げた際に、何に絞るべきなのか。これを考えていました。
今のところの僕の結論は、「焙煎度合によって味が変わるのですということです。

僕もそうでしたが大多数の方が、コーヒーのことを調べ始めた時は、産地について調べたのではないでしょうか。

モカやキリマンジャロやグアテマラは酸味が強い。
マンデリンは苦味が強い。ブラジルも苦味の方が強い。
コロンビアはマイルドで飲みやすい。

おぼろげにこういった聞いたことのあるフレーズなどを手掛かりに聞き慣れないカタカナの国を覚えようと必死になったと思います。
でも、今この立場ならこう答えます。「でも、焙煎度合で変わっちゃいますよ」と。

まあ、特に酸味と苦味の話にはなってしまうのですが、どの国のコーヒーがどんな特徴を持っているかの前に、実はどれくらいの焙煎度合で焙煎されているのかが、1杯のコーヒーに与える影響は非常に大きいのです。
そして、これが意外と知られていないのではないかなあと感じています。

ですが、例えば「グアテマラは酸味が強い」という特徴を話すこと自体を否定している訳ではありませんよ。
ただ、仮に今の僕が「グアテマラは酸味が強い」と言う時は、生豆の素質を非常に大まかに説明する時だろうなあと思います。
なので正確には、「グアテマラはしっかりした酸味を持っているコーヒーが多いですけど、それでももし、深煎りにしちゃったら苦味が強くなりますよ。」と言いたい。あと、「もちろん、その分酸味は感じなくなりますよ。」と付け加えたい。

という感じで説明すると、コーヒーは難しいと思われてしまうのが、今の悩みどころです。

なので、コーヒーの焙煎度合の話がもっと一般的な知識になれば早いんですけどね。
せめて「浅煎りにすると酸味が強くなって苦味が少ない。深煎りにするとその逆で、苦味が強くなって酸味が少ない」だけでも知ってもらえれば随分話しやすいのですが。

現在のスペシャルティコーヒーの業界では、浅煎りの領域が随分定着してきていると思います。
ですので、大きく分けると、「浅煎り」「真ん中」「深煎り」と勢力が大きく分けられる。

めちゃくちゃ大雑把に分けますけど、特徴としては「浅煎り=酸味、真ん中=バランス、深煎り=苦味」でそれぞれ勝負するコーヒーになります。
なので、それぞれ同じコーヒー豆を使っても、全く違う味になってしまう訳です。

でも、現状ではどの店が浅煎りでどの店が深煎りでというのは、パッと見ではなかなか判別が付きませんよね。
そして、もし焙煎度合によって味が違うということを知っていても、それを見分けるのは消費者側としては相当に難しい。

コーヒー豆の焙煎度合は、基本的にはコーヒー豆の色が参考になります。
淡い色のコーヒー豆であるほど浅煎り、よく見る茶色くらいが真ん中、深煎りになっていくと段々黒くなっていきます。
でも、こんなことは焙煎をやったことでもない限り、よっぽど見分けられません。

結局、「焙煎度合というものがあって、味が全然違っちゃうんですよ」という話をする時には、豆の見た目と焙煎度合を紐付けした状態で知ってもらわないと意味がなく、それを一般的に広めようと思ったら結構大変ということなんでしょうね。

という壁にぶつかったところで6月が終わりました。
そうです。良い答えは見つかっていません。
良い答えがあったら、初めからもっと広まっているのだとは思います。

でも、コーヒーの敷居をもっと下げるには、ここを何とかクリアーしたいので、これからもいろいろ考えたいと思います。
個人的にはラーメンの「塩、醤油、味噌」くらい味の違いがあると思っているので、将来的には何とかしてクリアーしたい課題ですね。

焙煎度合の認識が広まれば、もっとコーヒーを正しく理解できる人が増えるはずなので。

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