前回のブログでせっせと作業中だった、店内用の「本日のドリップコーヒー」ボード。
ようやく、完成しました!
これが正解かどうかは分かりませんが、とりあえず伝えたい情報は詰め込んだという感じですね。
今回のリニューアルで最も力を入れたのは、
焙煎度合を全体で見渡せること。
これまでのボードは、「当店のラインナップの中で、この辺りの風味です」という表現しかできていませんでした。
お店としてはもちろん、これで問題はないのですが、これだとボードの上の方にあるコーヒーは「すごく酸味が強いのだろう」と考えてしまったり、反対に下の方は「とても苦いかもしれない」と思ったりしてしまうと感じていました。
コーヒーの自家焙煎店には、焙煎度合に守備範囲があります。
全てのお店が浅煎り~深煎りまでまんべんなくコーヒーを用意している訳ではありません。
今では浅煎りがメインで中深煎り以上は並べていなかったり、もちろん逆に深煎りしか並べていないお店もあります。
これはそのお店の個性ですので、どちらの方が良いという話ではありません。
「このお店はこういう味の特徴があるから、自分の好みと合うか合わないか」を消費者側が考えるようになることが大切です。
「なんだ、やっぱりコーヒーってめんどくさいなあ」と思われるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
これはラーメン屋さんと同じ感じだと思いませんか。
個人で経営しているラーメン屋さんは、醤油や豚骨など、基本となる味を絞ってラーメンを作っていて、そういうお店だということで認識されています。
食べに行く方は、それを分かって食べに行っています。その時に「自分の好みと合うか合わないか」は判断しているはずです。
コーヒーも同じ考え方をした方が、「思っていたのと全く違う味だった」という失敗を防ぐことができます。
自分の好みと最も擦り合わせた方が良いコーヒーの情報が、焙煎度合なのです。
今回作り直したボードでは浅煎り~極深煎りまで、現在のコーヒーで主に使われている焙煎度合の全体を表示しました。
すごく簡単に言って、浅煎りの方が酸味が強くなって苦味は弱く、深煎りになるにつれて酸味が弱くなって苦味が強くなっていきます。
当店の焙煎度合の守備範囲は、ハイロースト~フレンチロースト辺りで、全体の大体真ん中辺りを広めに持っているということが分かると思います。
ということは、すごく酸味が強いコーヒーやすごく苦味が強いコーヒーは当店には並んでいないということになります。
これは、「豚骨ラーメンのお店に行っても醤油ラーメンは売っていない」という状況と同じと考えられると思います。
今のコーヒーは、昔よりも更に情報が複雑になってきて、勉強している方はまだ大丈夫かもしれませんが、一般消費者の方には取っつきにくいと思います。
「最高の日常コーヒー」を提供することを目指すカフェカホンとしては、この状況は良くないと考え、消費者の方にまず最初に認識して欲しいコーヒーの情報として、焙煎度合を挙げています。
焙煎度合を意識してコーヒーを選ぶと、自分の好みと擦り合わせることができるので、選び甲斐があって楽しくなります。
横軸はそれぞれの豆の個性です。
横軸は「穏やか」「個性的」の表現にしました。
これはそれぞれのコーヒー豆自体の個性となります。
焙煎する前の生豆の段階では、どの人にとっても同じ豆です。
この生豆の段階で持っている個性は、どんな焙煎をしても共通して出てきます。
この個性をどの焙煎度合で、どのような焙煎をするかで、お店それぞれの風味を作るのです。
これは落語やクラシック音楽のように僕は感じていて、同じ作品だけど、演じる人が違うと表現が変わって来る。という風に考えるのがオススメです。
そう考えると、このボードの全体図はコーヒーを飲む方でしたらとても有意義な情報だと思いませんか?
ぜひ、ご自分で飲んでいるコーヒーが、このボードのどの辺なのだろうと想像しながら飲んでみてください。
そうすると、いつの間にか自分の好みも絞れてきますし、コーヒー選びができるようになっているはずです。
外のテイクアウトカウンターにも立て掛けるようにしました。
お近くの方は通りすがりにでも眺めて「へえ~」ってなってください。