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【カッピングメモ】エル・インヘルト農園プライベートオークション

ようやく梅雨らしいというか、しっかり雨の日になっていますので、ずっと書きそびれているカッピングメモを一気にやっつけようと思います!
どうも、今日は一日物書きの店主です。

という訳で、今日は書くのはグアテマラのエル・インヘルト農園のプライベートオークション、「レセルバ・デル・コメンダドール」のサンプルです。

こちらの農園のコーヒーは現在、「トラディショナル」というロットを販売していますが、これはブルボンとカツアイの混合ロットですが、この農園で最も有名な品種は「パカマラ」です。
この「パカマラ」は昨日カッピングメモを書いたグアテマラCOEを3年連続で1位を獲ったことのあるコーヒーです。
僕も毎年このプライベートオークションのサンプルをカッピングしていますが、毎年本当に素晴らしい味が出ています。

元々はこのパカマラを売るために始まったプライベートオークションですが、もうこれで7回目になり、途中から他の品種も販売するようになりました。
かつてはブルボンも販売されていましたが、今回は品種的には「モカ」「ゲイシャ」「パカマラ」が出品されています。

モカは非常に小さい粒のコーヒーで、まだそんなに流通していません。
あ、もちろんいわゆる「モカ」というコーヒーのことではありません。非常に紛らわしいですが、「モカ」という名前の品種があるのです。
焙煎後で黒こしょうくらいのサイズのコーヒー豆で、とても小さいです。

エル・インヘルトのゲイシャは2種類あります。
アフリカのマラウィから種を取り寄せた「アフリカンゲイシャ」とパナマのラ・エスメラルダ農園から種を取り寄せた「セントロゲイシャ」です。
今年はロット名が結構変わったので、この呼び名ではなくて、「ルビーゲイシャ」と「レジェンダリィゲイシャ」となっていました。

そしてパカマラもロットの分け方が変わっていました。
これまでは収穫月や区画で分けられていたことが多かったですが、今回は「収穫月と乾燥工程の違い」というこれまた非常にマニアックな分け方です。
ロット名とそれぞれの違いはこちらです。

ロット名 収穫月 乾燥工程
レセルバ・デル・コメンダドール 3月 温室のアフリカンベッド
レセルバ・デ・ラ・ファミリア 3月 パティオ
レセルバ・デ・ラ・フィンカ 4月 温室のアフリカンベッド

↑アフリカンベッドでの乾燥はこういう感じ。

↑パティオでの乾燥はこういった感じ。

と、ここではそれぞれ何が違うのかというところまでは書かないですが、とにかく各ロットで違いがあるということです。

ロット説明の最後に、これまで紹介してきた各品種で、それぞれウォッシュトとナチュラルの精製方法が用意されています。
という訳で、前置きが非常に長くなってしまいましたが、それぞれのロットに寸評を書いておきます。

【EI01 モカ ナチュラル】
こちらはモカのナチュラル精製なのですが、非常に量が少ないのでサンプル提供がありませんでした。ですのでカッピングできていません。

【EI02 ゲイシャルビー ナチュラル】
アフリカから来たゲイシャのナチュラル精製ですね。
結論から言ってしまうと、今回の出品ロットの中では最もフレーバーを発揮していたと思います。これまで出品された中でアフリカンゲイシャとしては最も出来がよかったです。
ゲイシャの香りにナチュラルのフルーティな部分も上手く溶け込んでバランスも良く、完熟したフルーツや赤ワインのような風味がありました。

【EI03 パカマラ ナチュラル】
パカマラのナチュラル精製のコーヒーです。収穫は3月のようです。
同じナチュラルのコーヒーとしては先のゲイシャルビーの方が勝っているなあとは思いますが、パカマラのナチュラルとしてはいつも通り問題ないコーヒーです。
こちらも赤ワインのようなフレーバーがありましたが、パカマラ本来の風味が若干弱かったですね。ただ、これは生豆の経時変化を待つ必要があると思いますし、しかるべき時期が来れば、期待しているパワフルな風味が出るものと思います。

【EI04 モカ ウォッシュト】
こちらはモカのウォッシュトのコーヒーです。今回初めてまとまった量のロットが出てきたなあという感じです。
生産者が望んでいるフレーバーがどのようなものなのか僕もまだよく分かっていないのですが、今回のモカに関してはお茶のようなフレーバーを感じました。
それ以外にはレーズンのような濃い果実のような感覚もありましたね。
いずれにしても見た目だけでなく風味においても独特な個性を持っているようです。

【EI05 レジェンダリーゲイシャ ウォッシュト】
パナマ由来のゲイシャで、今回はこのゲイシャはウォッシュトのみの出品です。
最近は種の出処であるエスメラルダ農園のゲイシャは昔の力強さよりも上品な印象のコーヒーになってきていますが、このゲイシャはその昔のエスメラルダの風味を今も持っているもので、個人的にはこちらの方が好きです。
今回もそういう意味では素晴らしく、とにかくゲイシャフレーバーと呼ばれるフローラルで甘い香りが豊かに感じられます。

【EI06 ゲイシャルビー ウォッシュト】
アフリカンゲイシャのウォッシュトです。
今年はこのウォッシュトも素晴らしくて、こちらにもフローラルな香りが十分ありました。
それに加えてエチオピアのイルガチェフェに通じるようなスパイシーさもあります。
個人的には、こちらの方がエスメラルダ農園の今の風味に近いように思います。
これを飲んでみると、先ほどのナチュラルが、いい感じにナチュラルフレーバーをここに加えていることがよく分かります。

【EI07~09 パカマラ ウォッシュト】
先ほど表に書いたように、各種パカマラのウォッシュトです。1つ1つ書いていると大変なので、ひとまとめで。
今回3種類あるロットの中で最も良いなあと思ったのは、コメンダドールです。
香り、上質なパカマラの酸が最もバランス良く出ていて、かつコクが強かったです。

次に良かったのは、フィンカです。
コメンダドールよりも全体のフレーバーの出方が弱かったのですが、共通するコクの強さがらりました。
コメンダドールと収穫が1ヶ月違うのですが、乾燥工程が同じ。
もしかしたらコクの強さはこの乾燥工程に由来しているのかもしれません。

最後はファミリアなのですが、このパティオで乾燥するという方法はこれまで出品されていたものと同じ方法です。
この3種の中では最もフレーバーが弱く、コクの強さも感じませんでした。
これは昨年カッピングしたこのオークションのパカマラのサンプルとよく似ていると言えるのですが、実際に入荷されてきたパカマラを自分で焙煎したことがあり、カッピングの時に感じた弱さはなんだったのかと思うくらい、エル・インヘルト農園のパカマラの実力が発揮されていました。

パティオ乾燥よりもアフリカンベッド乾燥の方が実際にコクが強く出るのなら、フィンカ、コメンダドールに期待をしたいという感じですね。

といったところで、大変ながくなってしまいましたが、エル・インヘルト農園プライベートオークションのカッピングメモでした。
当店でもイエローナンセ、トラディショナルと何だかんだと販売しているこちらの農園。
今年の年末にはもしかすると、いよいよこのオークションのロットが登場しちゃうかも?
そうなった時は全力でこの農園の風味の力強さを引き出してお届けしますのでお楽しみに。

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