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コーヒーの素朴な疑問集・器具編

ドリッパー編

【ドリッパーの違いってある?】

ペーパードリップの器具には、主に台形と円錐があります。
台形:昔からある形で、味はあっさり気味になりやすい。
円錐:最近は定番になりつつある形で、ギュッと濃いめになりやすい。
と、かなりザックリした印象はこうなります。
これ以外にも、カリタのウェーブドリッパーのような違う形もあります。

【ペーパーの形、色、サイズってあるの?】

ペーパーの形は、お持ちのドリッパーが台形か円錐かでそれぞれに合ったものを使わないといけません。
サイズも同じで、ドリッパーにはそれぞれ1杯用、2~4杯用などありますので、それに合ったサイズのペーパーを使います。
ペーパーの色は、漂白されたものが白、無漂白だとブラウンで、基本的にはどちらを使っても問題ありません。

【ペーパーの色って味に影響ある?】

ペーパーフィルターについては、「紙臭さ」が注目されるところです。
この紙の臭いは成分的には「リグニン」というパルプに含まれる成分が影響していて、漂白することで除去できるとされています。
ですので理論上は、紙の臭いをなくしたければ漂白を選ぶ方が良いのですが、この話はペーパーフィルターの保管状況などにも影響があります。
また、パルプそのものの質にも影響があるので、リグニンだけでは語れないと考えています。
気になる方は、漂白のペーパーをできるだけ湿気や臭いを吸わないように密閉容器に入れて保管するなど、工夫すると良いでしょう。

【ドリッパーサイズってどうやって決めるの?】

ドリッパーサイズは、抽出に使用するコーヒー豆の量によって変えましょう。
ドリッパーによってサイズ展開が違うので一概には言えませんが、下記を参考にしてください。
コーノ、ハリオ、CAFECなどの円錐形の場合の参考値です。

1杯用(小さいサイズ):25gくらいまで
2~4杯用(大きいサイズ):30~50gくらいまで

注意点は、意外と大は小を兼ねないということです。
大きいドリッパーで少ない豆量のドリップをするのは大変難しく、かえって美味しく淹れられないことが多いので避けましょう。

【ペーパードリップ以外の器具はどう?】

ペーパードリップ以外の代表的な器具は下記のようなものが考えられます。

・ネルドリップ:ペーパーの代わりにネル(布)のフィルターで抽出します。少しまったりした丸みのある風味になります。
・コーヒープレス(フレンチプレス):紅茶を淹れることで知られている器具で、テクニックが必要ないので、楽に安定して淹れられます。
・マキネッタ(直火式エスプレッソ):とても濃いコーヒーを少量作る器具で、短時間で抽出されるので慣れると楽です。
・サイフォン:ガラスの器具で、理科の実験のような器具です。味としては強めに出る傾向にあります。
・エアロプレス:注射器やところてんのように自分で押す器具です。レシピ次第でいろいろな抽出ができます。

ミル(グラインダー)編

【手挽きより電動の方がいいの?】

これはその方のコーヒーレベルに合わせて答えが変わってしまうので難しい質問です。
それぞれの段階別に簡単に答えておきます。

<1台目のミルをお探しの方>
初めてミルを購入するという方には、当店は5000円以下の手挽きで十分と答えています。
上を目指したらキリがないですし、今は調べるといろいろなミルが出てきますから、迷ってしまいます。

大事なのは、高価だったら必ず良いものとは限らないことです。

最初は「豆のまま購入して、必要な分を淹れる直前に挽ける環境を作る」ことが大切ですので、いきなり背伸びしなくても良いと思います。
自宅で挽ける環境がどういう感じになるのかお試ししたいということでしたら、これくらいのミルで十分です。

<1台目を持っている方
初めての手挽きのミルを使っていて、やっぱり挽くのが面倒だとか、電動ミルは味がどのように変わってくるだろうと疑問に思った方だと思います。
挽くのが面倒だと感じた方は、ご自宅で頻繁にコーヒーを淹れることがある方。
電動ミルで味がどのように変わるか気になる方は、コーヒーをもっと美味しくすることに興味が出ている方。
どちらもミルにおいて次のステップに進んで良い方だと思います。

予算やご自宅での置き場スペースを考えず、この先ミルで悩みたくない!と考える方には、以下の電動ミルをオススメします。
・富士珈機 みるっこ
・カリタ ネクストG
・カリタ ナイスカットミルG
・ボンマック コーヒーミル BM-250M
このクラスになると、エスプレッソ用の極細挽きは対応していませんが、ご自宅のドリップでは悩むことはなくなります。

このクラスでは予算が厳しいという方は、1万円前後辺りの似たような形の電動ミルで手を打つ案もあります。
ポイントは、上から豆を入れて、挽かれて粉になって下部の粉受けに落ちてくる構造であること。
当店では、フードミキサーのような形のブレード型はおすすめしていません。
理由は後ほど書きますが、望んだ形のコーヒーライフにはなりづらいと思います。

【ミルの違いで味が変わるの?】

初級~中級者の方向けの答えとしましては、そんなに変わらないと答えます。
上級者の方向けの答えとしては、結構変わりますよ。と答えます。

そもそも、コーヒーの味は焙煎豆の味でほとんど決まります。
抽出段階の器具で変わるのは、その味の範囲内でどういう濃さやニュアンスで表現するかという部分です。
ご自宅で日常のコーヒーを美味しく楽しみたいという方には、細かすぎる話です。

ミルの違いで出る風味の変化は、究極の1杯を目指すようになってようやく重要になる要素です。
例えば車で、タイヤを変えると乗り心地は変わるの?というのと話は似ていて、「そりゃ変わるだろうけど、それ必要?」という話です。
この例え話の場合、ミルはタイヤ、コーヒー豆は車そのものです。車が変われば、それはさすがに大きい変化ですよね。
本当に味を変えたかったら、器具ではなくコーヒー豆を変えましょう。

【ブレード型のミルでもいいの?】

「手挽きより電動の方が優れているらしい」という話だけ昔から独り歩きしているように感じます。
店主もかつて、手挽きのミルからブレード型の電動ミルに移行したことがあります。

結論から言いますが、ブレード型のミルは、当店はおすすめしません。
なぜなら、かつて店主がこのブレード型を使っていた期間だけ、コーヒーを淹れるのが嫌になったからです。

当時は、自分で淹れるコーヒーをもっと美味しくしたい。そのために抽出も安定させたい。と考えていた時期でした。
今から考えると、抽出を安定させるには、抽出環境をできるだけ毎回揃えないといけないのです。
コーヒーの抽出量、コーヒー豆の量、抽出時間、お湯の温度などが考えられますが、これらをできるだけ揃えて抽出すれば、勝手に安定するのです。

この抽出環境の中には、豆の挽き目も含まれてきます。
豆の挽き目は、粗いとコーヒーの味が出にい(薄くなりやすい)、細かいと味が出やすい(濃くなりやすい)という影響が出ます。

ブレード型のミルは、この挽き目が揃わないというのが最大の問題点です。
しかも、「一度に挽いた豆の中でも粗いものから細いものまで混在してしまう」、「挽くたびに挽いた結果がバラついてしまう」という二重の意味で挽き目が揃わないのです。
これでは抽出環境が揃うはずもなく、ドリップを上手になりたいと考えている方には向いていないでしょう。

なので、とりあえず挽ければ何でも良いと考えるのであればまだ良いですが、美味しく淹れたいと少しでも考える方にはオススメできません。
ついつい安価な電動ミルなので、見つけると魅力に感じてしまいますが、同じ価格帯なら手挽きの方が良いと思います。

【買ってきた手挽きのミルで挽くのが大変】

手挽きのミルは、自分で好みの挽き目に調節できるのですが、新品のミルを買ってきた場合、ほとんどのものが最も細かく挽ける状態になっています。
これはパウダー状なくらい細かい状態で、挽くのが大変なうえに、ペーパードリップには向かない挽き目です。
そのまま使うものではありませんので、挽き目を調節してからお使いください。
ペーパードリップには中細~中挽きくらいがちょうど良いです。

ドリップポット編

【ドリップポットって必要なの?】

ドリップポットを使う主な目的は、お湯を沸かすのではなくて「ドリップ中に注ぐ湯量の調節をする」と考えると良いです。
ドリップで味を安定させるには、この湯量の調整は大切で、抽出時間に影響してきます。
やかんなど注ぎ口が太いもので注ぐと、調整が難しくて抽出が安定せず、毎回味が変わってしまうことに繋がります。

もちろん、抽出自体が無理ということではありません。
でも、安定して美味しく淹れたいと考えるなら、あった方が良い道具と言えます。
ご自分で狙った場所に狙った湯量で注ぐことができれば、他のもので代用しても大丈夫です。

【ドリップポットでお湯を沸かしていいの?】

当店では、お湯を沸かす時はやかんや電気ケトルを使い、ドリップポットはお湯を注ぐだけに使うことをオススメしています。
理由はこちら。

・ドリップポットで沸かすお湯は量に限界があり、2杯分以上淹れる時にお湯が足りなくなる。
 やかんや電気ケトルで沸かしておけば、ドリップポットのお湯が少なくなっても足せば良いので、お湯切れの心配がなくなる。
・コーヒーをドリップする際は、沸騰したてのお湯では温度が少し高すぎます。
 やかんや電気ケトルで沸かしたお湯をドリップポットに移すと数℃下がって淹れやすくなります。
・ドリップポットでお湯を沸かすと、取っ手が熱くて淹れる時に大変です。
・ドリップポットを火にかける必要がなくなるので、ドリップポットの寿命が延びます。

【ドリップポット選びのポイント】

ドリップポットを選ぶ時は、こちらの点にご注意ください。

・容量を1リットル以下のものを選ぶ
 容量が大きいと、ポットのサイズも大きくなりますし、重くもなります。
 置き場にも困るし、取り回しも難しくなるので、700ml前後がちょうど良いでしょう。
・注ぎ口の形状
 細口になっているものなら大丈夫ですが、太さや長さは相性があります。

【ポットの素材は気にした方がいいの?】

ドリップポットには、ステンレス、琺瑯、銅などの素材が使われています。
お湯をやかんや電気ケトルで沸かして、ドリップポットは飽くまで注ぐだけという使い方をするならば、素材はそこまで深く考えなくて良いと思われます。
ステンレスは丈夫で軽い、琺瑯はカラフルで見た目がかわいい、銅はシックでかっこ良い。
ドリップポットは、最後は「慣れ」ですので、気に入った形や色で決めても良いと思います。

【ドリップポットって直火に使えるの?】

基本的には、ドリップポットは直火に使用できます。
IHに対応しているものもありますが、非対応のものもあるので、その都度確認した方が良いです。

その他もろもろ

【器具の違いで味が変わる?】

コーヒーの抽出器具には、主に2つのタイプがあります。

・透過式:お湯や水を上から注ぎ、コーヒーの層を通過して、下のカップやサーバーに落ちます。
     すっきりクリーンな味わいになりやすいですが、抽出技術が必要なことが多いです。
・浸漬式:お湯や水とコーヒー豆を同じ容器に漬け込んで、一定時間後に分離します。
     豆やお湯の量や漬け込んだ時間で濃さを調整できるので、テクニック不要で安定します。

【結局、どの器具を選べばいいの?】

どの器具にも、メリットとデメリットがあります。味の傾向やレシピの手軽さ、後片付けのしやすさなどです。
それぞれの器具の特徴と、自分のライフスタイルとすり合わせて、最も扱いやすい器具を選ぶと良いです。
当店なりのそれぞれの器具のポイントをまとめましたので、「コーヒー器具を勝手にまとめ!」も参考にしてください。

例えば、平日の朝に淹れることが多いのに、ゆっくり淹れる時間はないでしょう。
その場合は、抽出で多少放置ができるコーヒープレスのような浸漬式を選ぶと楽になるでしょう。
また、時間を取れる時にじっくりドリップを楽しみたい時は、ペーパーやネルドリップを選ぶのも良いでしょう。

コーヒーは、自分に合わせて豆や器具、レシピを選ぶようにすると迷わずに済みます。
いろいろな器具を使うのは、正解を探すというよりも、違いを楽しむことを目的にすると良いですよ。

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